専門的に遺伝性疾患の医療を行う看護師

遺伝性疾患は多岐にわたる病気でありながら、これまで医師一人にそのケアが任されてきました。しかし、ゲノム解析技術の飛躍的な発展によって、その多くに新たな治療法が開発されつつあります。一方、ケアを行うのも医師一人ではなく専門看護師や遺伝カウンセラーなどで構成されたチーム医療がメインとなっています。2016年にその分野に特化して特定された遺伝看護専門看護師は、2017年にまず5人が認定されました。今後も遺伝看護専門看護師は増え続けるかもしれませんが、その専門性の高さから資格の取得は容易ではありません。

遺伝看護専門看護師の仕事として、まず対象者の課題の見極めがあります。さらに予防、診断、治療の意思決定を支援するのも重要な仕事です。そして対象者のQOL向上という看護業務共通の目的がありますが、遺伝性疾患の特性としてそれを生涯にわたって支援して行かなくてはなりません。加えて、医療スタッフとして体制を整えたり、ゲノムに関する医療の発展に寄与することも大切です。高い能力が求められる専門看護師の中でも、特に広く深い知識と高い意識を持って臨まなくてはならない仕事と言えます。

遺伝看護専門看護師の資格を取得するためには、遺伝医療の分野における実務3年以上含む、5年以上の実務経験が求められます。その上で看護系大学院修士課程を、所定の単位数を取得して修了すると受験資格が得られます。試験は筆記試験と書類審査で、これに合格すると専門看護師認定証が交付され、登録が行えるのです。その後も5年ごとに書類審査が行われ、資格は更新されます。大変厳しい内容ですが、それだけ社会に求められる重要な職種です。看護師の方でもしこの分野に興味をお持ちなら、まずは遺伝性疾患について知ることから始めてみましょう。